1ページでわかる社会福祉法人

社会福祉法人が活躍する分野

高齢者福祉・介護

日常的に介護が必要であったり、生活に不安がある高齢の方がたに向けて、特別養護老人ホームや軽費老人ホーム等の経営を行っています。また、施設を生活の場として入所するサービスだけでなく、訪問介護や通所介護など、自宅での生活を続けながら日常生活の支援を行う居宅サービスも実施しており、「通い」「訪問」「泊まり」など一人ひとりの生活にあわせた多様な支援に取り組んでいます。
こうした取り組みは、社会福祉法人による実践の積み重ねによって制度化されたものです。
また、介護を必要としない高齢者の方がたに対しても、介護予防の取り組みや配食サービス、買い物支援、地域での居場所づくり等、地域に住む高齢者の多様なニーズにあわせた活動を、社会福祉法人が地域で果たすべき役割として実践しています。

障がい者支援

身体・知的・精神など多様な障害をもつ方がたへの福祉サービスとして、入所施設やグループホーム、就労支援事業等を経営しています。施設での生活を支援することにとどまらず、障害をもつ方がたが、その人らしい日常生活、社会生活を自身で選択できる環境を整え、豊かな生活を送ることができるよう、支えています。
また、一般企業に雇用されることが困難な障害をもつ方がたを雇用し、就労機会を提供することで、自立した生活を支援しているだけでなく、雇用に限定せず、就労に困難を抱える方がたに対して、多様な働き方を実現するためのサポートを行っています。 さらに、障害をもつ方がたへの相談支援事業も実施しています。自立した生活を支えるため、抱えているさまざまな悩みや課題の解決、適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援しています。
こうした取り組みには、地域社会の理解と協力が不可欠であり、地域住民や関係機関等と連携して、多様性を認め合う豊かな共生社会の実現に向けて、努力を重ねています。

子育て支援、社会的養護

全国の保育所等(幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園、保育所)の半数以上は、社会福祉法人が経営しています。保育所等で働く保育士は、子どもの最善のために、保育の専門的知識、技術を活かして子どもたちと子育て家庭を支援しています。
また、家庭において適切な養育を受けられない子どもたちのために、乳児院や児童養護施設等を経営しています。児童養護施設の子どもたちは共同で生活をしていますが、より家庭に近い環境を整えるため、少人数グループでの生活を基本とする施設の小規模化が進んでいます。家庭に代わる子どもたちの育ちの場として、児童指導員、保育士等の専門職が、子どもたちの夢を応援し、将来自立した大人となれるよう、日々の生活を支えています。
保育所や入所施設の経営だけでなく、それぞれの地域の子育てを応援するために、さまざまな支援活動に取り組んでいます。専門性の高さを活かして、だれでも利用できる育児講座や子育て相談などを開催し、地域の子育て世帯の育児不安を和らげる活動を行っています。

生活困窮者支援

日本国憲法に規定されている、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とする生存権を具現化するために、生活保護法があります。社会福祉法人では、生活保護受給者の自立支援を行うため、救護施設や更生施設を経営しています。救護施設では、身体・知的・精神などの障害をもった方がたやアルコール依存症、ホームレス状態にある生活保護受給者が、自身に合った生活を実現できるよう福祉サービスを提供しています。
また、経済的な理由により必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、医療機関が無料または低額な料金によって診療を行う無料低額診療事業や、生計困難者のために無料または低額な料金によって簡易住宅を貸し付ける、または宿泊所等を提供する事業を経営しています。
そのほかにも、生活保護などの既存の制度では対応できない方がたや、明日の生活に困っている方がたに向けて、福祉事務所や社会福祉協議会と連携するだけでなく、市町村単位、都道府県単位の社会福祉法人が協働して支援に取り組み、地域のセーフティーネットとしての役割を担っています。

災害支援

自然災害により避難生活を余儀なくされる方がたのなかには、高齢により介護が必要な方や、障害をもっている方など、通常の避難所生活を送ることが困難な方がたがいます。社会福祉法人は福祉避難所を開設し、日常生活に介護・福祉サービスが必要な方がたが避難生活を送ることができるよう、支援を行います。
また、災害が広範囲になると、多くの福祉施設が被災します。
福祉施設は利用する方がたの生活の場であり、災害時においても事業は継続しなければなりません。そのため、緊急的に必要な物資の提供、利用する方がたの受入れや職員の派遣など、全国の社会福祉法人のネットワークを活かして、被災した社会福祉法人・福祉施設に向けて支援を行うことで、利用する方がたや地域住民の生活を、被災時においても支えています。

地域共生社会の実現

地域における多様な支援ニーズに的確に対応していくためには、個人や世帯が抱える様々な課題への包括的な対応や、地域の実情に応じて、高齢・障害といった分野を超えて総合的に支援を提供することが必要です。
これからの社会福祉は、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域福祉を支える多様な主体が「我が事」として福祉課題をとらえ、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく「地域共生社会」の実現を目指しています。
社会福祉法人はこれからも地域福祉の担い手として、さまざまな主体と関わりながら、公益性の高い非営利法人としての役割を果たすべく、地域共生社会の実現に向けて積極的に活動をしていきます。

お答えします

社会福祉法人とは?

社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として社会福祉法にもとづいて設立されている法人です。公益性の高い、非営利法人であり、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ公正に行っています。

全国社会福祉協議会Webサイト

どんな事業をしているの?

社会福祉事業は、第1種社会福祉事業と第2種社会福祉事業に分類されています。高齢者、子ども、障害者、生活困窮者など、さまざまな生活課題や福祉ニーズをもつ方がたの生活を24時間・365日休むことなく支えています。

社会福祉事業の分類

地域での役割は?

地域福祉の担い手として、福祉サービスの利用者だけでなく、地域に暮らす人びとの「生きる」を支えるため、社会福祉事業にとどまらない、地域のニーズに応える取り組みを実践し、そこから新たな福祉サービスをつくり出しています。

社会福祉事業っていつから始まったの?

社会福祉事業の起源は、古くは聖徳太子による「悲田院」にまでさかのぼります。
社会福祉事業のルーツは聖徳太子が開いた悲田院にまでさかのぼると言われており、各時代に生活に困っている人びとを救済する取り組みは脈々と営まれてきました。しかしながら、国の制度・施策として位置づけられるのは、明治7年に、窮民救済を目的とした「恤救規則」が制定されてからになります。
その後、終戦直後から戦災孤児、傷病者、失業者等の救済のため、国は「児童福祉法」、「身体障害者福祉法」、「生活保護法」等の各福祉法を制定し、今日の社会福祉の基本体系が整備されました。各法に位置づけられた施策を推進するために社会福祉事業法が制定され、現在の社会福祉事業が法制化されました。
この間、多くの社会福祉事業家がその対象となる人びとのために私財を投じ、運営費等の不足や職員の雇用等において多くの苦難を乗り越えてきました。先人たちの強い慈善博愛の精神と自らの生活をかえりみることのないひたむきな活動があって、特別養護老人ホームや保育所、障害者支援といった現在の社会福祉事業は成り立っているといえます。

社会福祉法人はどれくらいあって、どのくらいの人が利用しているの?

社会福祉法人は、日本全国の地域に広く存在し、子どもから高齢者まで、暮らしのさまざまな場面を支えています。少子高齢化や家族形態の変化が進む中で、その役割と規模は年々大きくなっています。
現在、社会福祉法人が運営する主な福祉施設の規模感は、次のとおりです。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
 全国に 約8,000施設
 要介護度の高い高齢者の生活を支える、介護福祉の中核となる施設です。
障害者支援施設等
全国で 約6,000施設
 障害のある人の生活支援や日中活動、就労支援などを担っています。
児童福祉施設等
全国に 約4万施設
そのうち 約2万6,000施設が保育所等 であり、子どもの育ちと子育て家庭を地域で支えています。

これらは主な施設の一例であり、このほかにも、相談支援、地域支援、見守り活動など、社会福祉法人は多様な事業を展開しています。
こうした福祉の現場を支えている職員は、全国で 約100万人規模 にのぼります。利用者の生活を直接支える専門職から、施設運営を担う職員まで、多くの人びとが福祉の現場に関わっています。
今後、高齢者人口の増加や支援ニーズの多様化に伴い、福祉施設の数も、そこで働く人の数も、さらに増えていくことが見込まれています。
社会福祉法人は、これからの時代においても、地域に欠かすことのできない社会資源として、その役割を広げ続けていきます。

株式会社のような企業と社会福祉法人は、どこが違うの?

公益性(地域社会のために活動している)、非営利性(利益を目的としていない)、安定性(事業の継続性が確保されている)、といった点が社会福祉法人の特徴です。
社会福祉法人は、福祉を必要とする人びとの生活に直結するサービスを提供しているため、設立にあたっては、高い公益性、安定性、非営利性といった条件をクリアしなければ認可されません。 たとえば、社会福祉法人が保有する資金は原則として、社会福祉事業以外に使用することができず、株式会社のように出資者への配当等の利益処分は許されません。
また、安易な撤退も許されず、解散した場合の残余財産も私人には一切帰属せず、国庫又は他の社会福祉法人等に引き継がれます。
このように、営利を目的とした企業とは異なる法人形態のもと、公益性の高い社会福祉事業を経営しているため、税制上の優遇措置が認められています。

社会福祉法人のサービスは、質が高いの?

社会福祉法人では、専門資格や知識の習得によりケア技術を向上しています。さらには、第三者評価制度の受審など外部からの評価・点検により、「利用者の尊厳や個別性に配慮した、安心・安全で質の高いサービス提供」へ積極的に取り組んでいます。
たとえば、高齢者の介護を行う特別養護老人ホームでは、利用者からのさまざまな要望にお応えすべく、介護の専門職である介護福祉士をはじめ、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士などの資格を有するスタッフが協力して、サービスを提供しています。
安心・安全なサービス提供のために、リスクマネジメント体制の構築や、サービスの自己点検など「サービス管理と質のチェック体制」への整備に積極的に取り組むとともに、さまざまな研修会へ役職員が定期的に参加したり、職場内研修を実施することにより、継続的な質改善に取り組んでいます。

福祉業界の給料って本当に低いんですか?

「福祉の仕事は給料が低い」と聞いたことがある人もいるかもしれません。たしかに、以前はそう言われることもありました。
でも、最近は状況が変わってきています。国が給料を上げるためのしくみをつくり、福祉で働く人の給料は少しずつ上がっています。仕事の内容や地域によっては、ほかの仕事と同じくらい、またはそれ以上になる場合もあります。 また、福祉の仕事は、これからの社会でますます必要とされます。高齢者人口が増加し、一層支え合いが大切になる中で、福祉の仕事がなくなることはありません。福祉の仕事は、社会に必要とされ続ける、安定した仕事だと言えます。

社会福祉法人で働く魅力って何?

社会福祉法人で働く仕事は、人の生活ととても近いところにあります。介護や保育、相談の仕事などを通して、誰かの毎日を支える役割を担います。
毎日の仕事は、特別なことばかりではありません。でも、その一つひとつが、「安心して暮らせるようになった」「できることが増えた」という変化につながっていきます。
自分の仕事が、誰かの人生を支えていると実感できること。それが、社会福祉法人で働く大きな魅力です。社会福祉法人の仕事は、これまで受け継がれてきた「人を支える営み」を、今の社会、そして未来へとつないでいく仕事でもあります。